four seasons ~恋人たちの午後~

気の向くままに文字を綴ります。。。

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私の彼は副社長 2-12



「平井……どうしたんだ?まだクラブは開いていないけど。平井?」




ショップで出会った時とは違う、一夜にして変わり果てた彼女の雰囲気に驚いていた。
肩は力なく下がり、いつもセンスよくまとめている髪もただ黒いヘアゴムで束ねているだけ、僕の声掛けに振り向いてもくれなかった。


そんな彼女の肩を叩くと、覗き込んでみる。


だが亜紀は、顔を見せるのに躊躇しているかのように、全身に力を入れ顔を反らしたのだ。異常な彼女の行動。心配した僕は、彼女の肩を揺さぶり声かけ続ける。すると、観念したようにゆっくりと顔を上げた。
「平井…!」
僕は、亜紀の顔を凝視できずに視線を反らし顔をしかめてしまった。
彼女の瞳と頬は、真っ赤に腫れ上がっていたのだ。まるで、何度も叩かれたように頬の形は変わり果てていて。
「何かあった……ようだね」
出勤してきたFIEのスタッフが増え、フロアでは話が出来なくなる。
興味深げに視線を向けるスタッフより彼女を守るため、三階の僕のオフィスへと場所を変えることにした。





「インスタントだけど……牛乳を沢山入れておいたよ」
僕は亜紀の前にカフェオレが入ったカップを置くと、真向かいに腰掛けた。肩を落としたままの彼女は、それをひとくち口に含むと溢れ出す涙を両手で隠した。
「真純くん……優しいのね」
亜紀は、僕が差し出したハンカチを受け取りながら、「私、独りになった」と呟いた。
「えっ?」
「あの人、二股かけていたの。イブに女性と鉢合わせしたわ」
「ええっ!」
驚いて声をあげてしまった。
それは、婚約者とホテルでディナーを楽しんだ後だった。部屋へと向かっている亜紀たちの前に、突然女性が現せたのだという。もちろんその後は、女同士がつかみ合う修羅場となった。ふたり我に返ったときには婚約者の姿は無く。
「叩かれたのか?」
腫れ上がった左頬を冷やすために、僕は冷蔵庫へと行こうとする。そんな僕の腕は、彼女により掴まれた。
「今日、一緒にいて欲しい…独りになるといけないことまで考えてしまうの。一睡も眠れなくて、気付いたらここに来ていた」



背筋がゾクッとした。
彼女の置かれた境遇とやつれたこの姿から、『いけないこと』の意味がすぐにはじき出される。ここで、彼女を突き放したらそれが現実化しそうで怖かった。
「僕は、今日一日会議が入っている。待てるならば飲みにでも行こう。酒に頼りすぎるのはいけないことだが、今日は癒さないとな。友人として、じっくり付き合ってやるよ」
「友人……」
亜紀は、潤んだ瞳で僕を見続けている。彼女を前にし、躊躇なく友人と言えるようになった僕は、いつの間にか彼女のことを卒業できていたことに気付いた。
「そう…、分かったわ」
「適当に僕のオフィスで過ごしていてくれ。気晴らしにジムに行ってもいいし……会議が終わり次第迎えに来る」
「じゃ、行くから」僕はオフィスを後にする。扉を閉めようとした時彼女が止めた。
「真純くん!」
「なに?」
「昨日の……あの人…」
「え?」
「やっぱりいいわ」亜紀は、僕の視線を断ち切るとテーブルにうつ伏せたのだった。





夜、オフィスに戻ると平井の姿はなく、手紙だけが残されていた。

― 真純くん、あの店で待ってるわ。

それは、亜紀とよく行っていた店。
プライベートルームがあるバーで、しっとりとした雰囲気がお気に入りの店だった。
「通用口に車を寄せてくれ」
デスクの内線電話にそう話しかけると、ソファーに脱ぎ捨てていたスーツのジャケットを羽織る。内ポケット探ると、亜紀に貸していたハンカチに手が触れた。会議の間にポケットへ戻してくれていたようだった。だが、どこを探してもホテルで書き残してくれた葉子の手紙は見つからなかった。
「あれ?葉子さんからの手紙がないな…落としたかな」
そんなはずは無いのだけれど。そう思いながらも、『なぜ、手紙が無いのか』などと深く掘り下げて考えることなどしなかった。
僕は、父の電話を受けながら通用口を出る。
そして、黒塗りの車に乗り込むと、バーで待つ亜紀の元へと向かったのだった。








第13話








本編3839話の真純サイドのお話です♪
葉子の動きと照らし合わせると、切なくなりますね。。。
最終話は、14話となります!

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まるこ

Author:まるこ
オリジナル恋愛小説を運営する
心の景色を文字にするのが大好きな
管理人。
『春夏秋冬』(R-15)

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目次

私の彼は副社長

登場人物

~出会い編~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/
10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/
17/ 18/ 19/ 20/ 21/ 22/ 23/
24/ 25/ 26/ 27/ 28/ 29/ 30/
31/ 32/ 33/ 34/ 35/ 36/ 37/
38/ 39/ 40/ 41/ 42/ 43/ 44/
45/ 46/ 47/ 48/ 49/

~真純くんの事情~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/
11/ 12/ 13/ 14/

~恋人編~
本家サイトにて公開中(R-15)





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