four seasons ~恋人たちの午後~

気の向くままに文字を綴ります。。。

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私の彼は副社長 49


真純は、渡航までの短い間、初デートを計画してくれた。
下山途中にある和洋折衷の創作レストランで食事をした後、ドライブがてら海へと向かう。

「あんなところでキスして、バチが当たるよな」

いつもは自信満々な彼でも気の小さい部分があるようで、納骨堂でキスを交わしたことを、まだ気にしていた。
「ん、まぁね。でも、私の母だけは大喜びしてるわよ」
「どうして、大喜びなんだ?」
運転しながらチラッと視線を向けた真純に、『だって、母の最終目的は孫なのよ…キスぐらい』なんて、言えるはずもなく。
「だって、どこから見ても恋人同士のキスでしょう。嘘じゃないって分かってくれたわよ」
そう伝えた。
「なるほどな」
仕事以外では、真純も単細胞かもしれない。彼は素直に納得し、視線をフロントガラスへと向けたのだった。




2月の終わりというのに春を思わせる陽気の中、私たちは浜辺へ降り立ち、空の青を鏡で映したような海を見つめていた。燦燦と降り注ぐ陽は水面を輝かせ、白い波は砂浜を削ってゆく。
「海って見てて飽きないわよね。寄せては返す波と単調な音だけなのに、どうしてこんなに癒されるのかしら」
「確かに…癒される」
真純は、そう言いながら足元に落ちていた石ころを手に取り、海へシュッと投げた。海面すれすれまで飛んでいった石は、2回水面に当たり海へと沈む。

「ああっ、失敗。……そうだな、海はささくれ立った心を洗い流してくれる。子供のような純粋な心に戻してくれるから、いいのかもしれないな」

気合を入れ直した真純は、再び石を探し、今度は助走を付け海へと投げた。石は太陽の光を受けきらりと光り、5回水面を跳ねた。

「よし!」
「わぁ、すごい!!」

嬉しさで飛び跳ねる私の方を向き、弾けるような笑顔を見せた真純は、ガッツポーズを作って喜んだ。意外な彼の姿に、胸のときめきが湧き上がってきて止まらない。子供の時に貰った初めてのプレゼント。その中身を見た瞬間にもよく似ている気がした。
「じゃ!私も」
手ごろな石を探して手に取ると真純の真似して投げてみた。
もちろん、そんなことしたことがないから、放物線を描いた石はボチャンと海に落ちる。
「あれ?」
「違う。こうだよ」
密着する形で彼から腕を支えられ、石を投げるフォームを教えてくれた。
「…こうやって下からまっすぐに投げると、こういう角度で海に入ってゆく…」
彼の胸が私の背中に当たってる。子供心は急ぎ足で退き、乙女心が騒ぎ出し。
「わかる?こう」
真純の頬が私の頭に当たり、私は真純に溺れていった。


「真純さん」
こんな風にもっと一緒に過ごしたいと思うのは、私の我侭な気持ちだ。
私は、いつだったか彼に言ったことがある。彼と少ししか会えなくても『私を愛してくれているなら、いつまででも待てる。…私を中心に考えて仕事がおろそかになるほうが嫌いだ』と。だが、彼とこうやって楽しく過ごしていると、そんな気合さえも萎えてきそうだった。
彼と離れたくない一心で、私は、腕を握る彼の手を反対の手で掴んでいた。
「どうした、分からない?」
面と向かってはいえない言葉、だから彼を背中に感じながら言うしかなかった。
「ううん、あのね……1年分でも2年分でもいいから、抱きしめていて欲しいの。このまま楽しい時間が過ぎたら…私、あなたを引き止めてしまいそうで」
切実な訴えが分かったのだろう。真純は私の頬に自分の頬を寄せてきた。
悲しそうに眉根を寄せながら、背後から私を抱きしめてくれる。摺り寄せられる頬からは、彼の悲しみが伝わってくる。
「休暇をもらって帰ってくる。1年も2年もほったらかしにはしないから」
「うん、ありがとう」
「それまでの分だ」
ぎゅっと抱きすくめられた。
身動きが取れなくて、肺までが圧迫されて苦しい。だけど、それもまた喜びに変わる。
これは何年分の抱擁だろうと思うくらいに、それから長い時間抱きしめられていた。








もう、何時間が過ぎ去ったのだろうか……。
夢から引き戻されたように、携帯の着信音が耳に入ってきた。
真純はそんな着信音すら耳に入ってないようで、身動ぎせず私を抱きしめ続けている。そんな彼の変わりに、私はそのコールを数えていた。


1、2、3、4、5……、6、7。


FIEからの緊急の呼び出し。
「真純さん、ありがとう。凄く落ち着いた」
私は、彼の元を離れようとする。しかし、真純からグッと引き寄せられ、距離を置けない。
「なんだか、いやだ」
駄々っ子のように頭を振り離してくれない彼の腕をトントンと叩き、現実に引き戻し続ける。
「もう、空港に行く時間だわ」
「はぁ…そうだな」
ようやく観念し、真純は私の身体から離れた。
ゆっくりとゆっくりと…そして、最後までふたりの身体を繋げていた手も外す。深いため息が頭上で漏れた。
「FIEから緊急連絡入っていたわ」
「ああ、ありがと」
彼は、スーツのポケットから携帯を取り出しながら、海へと歩いてゆく。海から差し込むオレンジ色の夕日は彼の姿を影にした。

「はい、真純です」

真純は、何度も何度も「はい、はい」と言い続けている。
だが、大きく肩が揺れたかと思うと彼は振り向き私を見た。
「はい……、ということは。指導が上手くいけば半年経たずにこっちに戻れる……という事ですか?」


― えっ?


私は、真純が言ったひと言に大きく目を見開いた。彼と視線が合う。彼の満足そうな表情に、この電話が私たちにとってプラスな報告であることを感じ取っていた。

「分かりました。はい……では。行って来ます」

真純は電話を切ると、社長だった…と呟いた。
「なんて?」
「君、覚えているかなぁ。一番最初に君の元に来た怪しい風貌のふたり組み」
ああ、覚えている。黒いサングラスをかけ、真っ白なスーツに真っ青と真っ赤なシャツを着ていたふたり組みだ。
「彼らは、社長命令であんな格好をさせられていたんだけど、実は、FIE東西ブロックの支部長代表なんだ。本日付で、彼らはFIEの海外スタッフとして任命された。だから、彼らは僕と一緒にロスに飛ぶ…それで」
それで?私は鸚鵡返しのように真純へ訊ねる。
「彼らが僕の後を引き継いでくれたら、僕の仕事は終わりだ。遅くても半年で帰ってくる」
「うそ!」
私は、あまりの嬉しさのために両手で顔を覆っていた。涙腺は緩みきっていて、涙が溢れそうになる。
「半年で?」
「ああ、君の花屋が新しくなる前には帰ってこれる」
「嬉しい!」



真純は、にっこりと笑うと両手を広げた。
おいで…彼の口元がゆっくりと動くと、私は、勢いよく彼に飛びつく。
そんな私を彼はしっかりと支えてくれる…揺らぐこともなく。
「半年待てば一緒にいられるのよね。真純さん!」
「だったら余裕で待てるだろう?」
綺麗になったはなみ花屋。
たくさんの花とお客の中で、微笑む私たち。そんな妄想を抱いて過ごせば、半年なんてあっという間だ。

「もちろんよ!」

嬉しくて嬉しくてたまらない。キスを催促するために彼の肩に腕を巻きつけると目を閉じた。
恋人関係になった私たち。
今までみたいに他人を気にした付き合いなんてしなくていいし、私の彼は副社長だと威張っても、咎められることもない。


彼の唇が私の唇を覆う。


私を探ろうとする彼のキスは、どんどん深く情熱的になっていった。















               出会い編  終わり







らぶらぶ一直線の葉子……。
恋人編では真純(の身体!?)をめぐってあつ~いバトルが!?
。。。ということで、これから書き溜めます。
その間、出会い編真純サイドのお話を数話UPしますので
お楽しみに☆

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目次

私の彼は副社長

登場人物

~出会い編~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/
10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/
17/ 18/ 19/ 20/ 21/ 22/ 23/
24/ 25/ 26/ 27/ 28/ 29/ 30/
31/ 32/ 33/ 34/ 35/ 36/ 37/
38/ 39/ 40/ 41/ 42/ 43/ 44/
45/ 46/ 47/ 48/ 49/

~真純くんの事情~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/
11/ 12/ 13/ 14/

~恋人編~
本家サイトにて公開中(R-15)





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