four seasons ~恋人たちの午後~

気の向くままに文字を綴ります。。。

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私の彼は副社長 38


昨日、一面銀世界だった街並みは、雪も溶け、路肩に少し残るばかりとなっていた。マヒしていた交通機関も嘘だったかのように戻り、朝の通勤ラッシュで人も車も多かった。
ほんの二駅違いなのにここは都会で、うちの商店街周辺では考えられないほどのざわめきにびっくりする。私はその混雑を縫うように歩きながら、病院へと向かった。






「おはよう、お母さん。ご飯食べれなかったのね、今日はちょっと調子悪いのかな?」
テーブルに乗っかったままの朝食を引きながら、母に話しかける。
「うん……まぁね」
気だるそうに返事をしながら寝返りを打ち、私のほうを見た母は鼻をくんくんと鳴らし苦笑した。
「あなた、昨日家に帰ってないの?着替えてないんじゃない」
「えっ?何か臭う?」
考えてみれば、私の服は昨日と同じ服だった。それに。
「真純君と同じ匂いがする」
なんて、ラッシュを言い当てられてしまったのだ。
「ん、な、何言ってるの。そんなわけないじゃない」
一夜のうちに自分では匂わなくなっていた真純のラッシュを、母はズバリ告げていた。ただ一度しか彼には会っていないのに、我が母ながらお見事だと拍手を送りたい。だけど、そう朝帰りなの……と母に白状する事も出来ず、肯定は出来なかった。えっちはしてないといっても、信じてくれそうもないし、娘の朝帰りだなんて、想像したくもないだろうし。
「昨日は、友達のうちに泊まったの。香水は、電車で付いたんじゃないの?」
もうちょっと秘密にしておくため、苦しげな理由付けをしながら、そそくさと膳を返しに行ったのだった。









「明日から外泊でしょう。早めに迎えに来れるように、今から大掃除するつもりなの。誕生会の準備もしておくわ、楽しみにしていてね」
私は母にそう言いながら、彼女の身体を蒸しタオルで拭いてやった。
そう、明日12月26日は母の誕生日だ。毎年ささやかながらではあるが、ケーキを囲みふたりでお祝いするのが恒例となっている。
「だから、元気に外泊してもらわなきゃ」
「出来れば良いけど」
「何、言ってんのよ!気合で帰って来てもらわないと困る。私、ずっとひとりきりで寂しいんだからね」
弱気な返事をする母を叱咤しながらも、寂しい本音がチラリと口に出てしまった。
本当に寂しいのだ。
母がフッといなくなってしまうんじゃないかという不安は、いつ何時だって心を過ぎり続けている。
その気持ちを吹っ切るために、医者の告知がはずれ、何年も何十年も生き続けて欲しいと願っているのだ。そのためにも、母には元気な姿で帰ってきてもらわなければいけなかった。
「そうよね。元気になって帰らなきゃね。葉子…」
母の言葉の余韻は、風となって私の胸の奥に入り込む。なんだか、ざわざわと心が騒いでいるような感覚に陥っていた。









店と自宅の大掃除が終わったのは、日暮れになってからだった。
私は淡いピンクの薔薇とダリア黒蝶、茶色のアンスリュームを使ったちょっと大人向きの花束を作りFIEへと来ていた。受付は昼間にいたあの女性たちではなく、男性。話を聞いていたようで、花束を持つ私を見るなり深々とお辞儀をされてしまった。
「羽並様ですね。副社長より伺っております」
「副社長は、いないのですか?」
答えは分かってはいるが、一応聞いてみる。
「申し訳ありません。会議中でして、花束の料金はこちらでお支払いいたします」
「あ、すみません」
私は、真純宛の請求書をその男性に手渡す。『そちらにお掛けになられて、暫くお待ち下さい』と言いながら、彼は花束を受け取り、事務所へと消えていった。




私は、受付横にあるソファーに座ると天井を見上げていた。
この上に真純がいるのかもしれないと思うと、テレポーテーションして彼の元に行きたくなる。目を閉じて会議中の真純を想っても、それだけでは物足りなかった。









第39話へつづく










次回からは、ラストスパート。頑張ります!



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『春夏秋冬』(R-15)

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目次

私の彼は副社長

登場人物

~出会い編~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/
10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/
17/ 18/ 19/ 20/ 21/ 22/ 23/
24/ 25/ 26/ 27/ 28/ 29/ 30/
31/ 32/ 33/ 34/ 35/ 36/ 37/
38/ 39/ 40/ 41/ 42/ 43/ 44/
45/ 46/ 47/ 48/ 49/

~真純くんの事情~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/
11/ 12/ 13/ 14/

~恋人編~
本家サイトにて公開中(R-15)





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