four seasons ~恋人たちの午後~

気の向くままに文字を綴ります。。。

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私の彼は副社長 37


広すぎるベッドに私は、ひとりごろんと寝転がった。
柔らかいスプリングが身体を包むと、あまりの心地よさに胎児のように丸まる。ひとりになって寂しいけれど、真純の告白と、彼が枕につけてくれたラッシュの香りがその気持ちを紛らせてくれた。


― 僕の携帯番号、何かあったら電話して。折り返し連絡するよ。


真純はそう言った後、数字を書いた紙を渡してくれた。
プライベートの携帯。家族と親しい友人にしか教えていないという11桁の番号は、今日から私の宝物となった。枕の下に忍ばせているその紙の数字を口で暗唱してみると急に睡魔が襲ってくる。
『彼が帰ってくるまでは、起きておこう』そう思っていたのに、いつの間にか意識は途切れてしまったのだった。



夜は、とても長く感じた。
公園や遊園地で真純とデートする夢ばかり見ていた気がする。内容は覚えていないが、とにかくいろんなシチュエーションをまるで映画館のスクリーンで見ているようだった。













満足気分に包まれた私は、カーテンの隙間から射し込む朝の光で目が覚めた。
それは、まるで映画のフェードインのよう。ぼんやりとした視界は目が覚めるにつれはっきりとしてきて、穏やかに波打っていた心臓が、目の前の現実を見せつけられドキッとバウンドした。



― ま、真純さん!




すぐ目の前には真純の顔があって、耳の下には彼の腕枕。いきなりの大接近に、心音は激しく鳴り響き、嬉しい悲鳴を上げてしまいそうになっていた。
いつ帰って来たのか分からないが、熟睡している彼を見ると、ほんの今しがたなのだろう。
きっと、寝顔なんかも見られて、額にチュッなんかされて、私が起きないように注意しながら頭の下に腕を差し入れてくれたのかな……なんて、既に妄想は独り歩きをしていた。
私は、ポカンと口を開け彼を見入る。
茶色い髪からは洗い立てのシャンプーの香りがし、彼の頬からは、洗顔料の香りがした。真純の顔立ちは、眠っていても綺麗で見惚れてしまうばかりで。
もっと見ていたかった、だけど……。


― うそぉ!!


私は、枕もとの時計を見て慌ててしまったのだ。
もう午前8時、今日は年末外泊する母のために店と自宅の大掃除をするつもりでいた。だから、朝から母の病院に顔を見せるつもりであったのだ。すっかり寝坊をしてしまった私は、ベッドからそろりと抜け出し、着替えをするために寝室を後にした。







相変わらず、真純はぐっすりと眠りについていた。
帰る仕度が整った後、最後の見納めだとベッドサイドに座り込み、彼の寝顔を眺める。
年初めにある説明会。私はそこで、買収を伝えるつもりでいる。だから、その後会うときは、敵味方の障害もなくなり、彼との本当の一夜を共にすることになるだろう。この綺麗過ぎる寝顔も、身体も、彼の全てがひとり占めできるのだ。それは、恋人だけが持てる、素敵な特権だった。
私は彼に刻印をつけるように、真純の頬に唇を当てた。
「真純さん。また来年……ロスで良いお年を」
そして、疲れている彼を起こさないように、こっそりと部屋を後にしたのだった。










『どうして、起こしてくれなかったんだ』
電話口の真純の声は、ちょっとむくれていた。君の顔を見たかったのに、彼はそう言ってため息をつく。なんだか一足早い恋人のような会話に、胸が弾むような気がしていた。そして彼は、取りにいけないんだけどと前置きし、私に花束のアレンジを頼んだ。




どうやら、知り合いの年配女性が母と同じ病院に入院したらしく、明朝お見舞いに行くということだった。私は相手のイメージを得るために、彼にどんな人かを聞く。すると、2,3秒無言になった後、真純はこう言った。
『そうだね。そうそう、君のお母さんをイメージしてもらったらいいかもしれない』
一番分かりやすいイメージだった。「だったら任せておいて」意気揚揚で彼に伝える。すると、更に彼はこう言った。
『ああ、葉子さんのお母さんとも会えたらいいのにな』
真純は、母のことを気にしてくれているようだった。




彼のためにも、外泊の際に母を説得しなきゃいけないと思った。
彼を信用していないわけではないが、真純のちょっとした言動から勘のいい母に知れることも考えられるのだ。順序が逆になり、話が拗れる事を恐れていた。
母に言ったら、彼と会えるようにセッティングするつもり。だから、ひとまず真純にはこう告げた。
「絶対駄目よ。私が買収のこと話したら、いっぱい会わせてあげるから。それまでは我慢して」
『えーっ、冷たいな。そんなこと話さないのに』
「えーなに?もしかして、私より母が好きなの?」
『そうだね。お母さんは、頑固じゃないからな』
「なによ、それ。母は、人当たりがいいだけよ。怒ると怖いし、頑固一徹よ」
『じゃぁ、君とそっくりなんだ』
「もう!!」
無言になった私を、真純は大笑いする。電話口で頬を膨らしながらも、なんだが幸せだった。喧嘩のうちには入らないが、なんだか痴話げんかみたいな雰囲気。凄く身近な存在になれたことを表しているようだった。


私は、こんな幸せが永遠に続いてくれることを心の底から願っていた。







第38話へつづく










フェードイン。。。
映画などで、暗い場面が少しずつ明るくなって
最後に全部現れること。



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目次

私の彼は副社長

登場人物

~出会い編~
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~真純くんの事情~
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11/ 12/ 13/ 14/

~恋人編~
本家サイトにて公開中(R-15)





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