four seasons ~恋人たちの午後~

気の向くままに文字を綴ります。。。

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私の彼は副社長 33


「ち、ちょっと、何ここホテルじゃない!」
ここまで来る途中、彼は携帯からいくつかの店に電話をした。だが、クリスマスイブということと、この大雪でどこも客がいっぱい。
……で、連れて来られたのがこの超有名ホテル。
驚いた私は、足かせをつけられたように動けなくなってしまった。


「ここのレストランもいっぱいでね。だから、スイートを取った」


ホテルのレストランどころか、スイートルームだった。
金銭感覚が違いすぎる。どうして、レストランが空いてなくてスイートルームなの?
ミクロの細胞になって彼の頭の中に入ってみたくなる。きっと彼の頭の中には、新種の細胞がウヨウヨしているに違いない。
平凡人には思いもつかない発想で、私は呆れ返っていた。
「…の方が、確実でしょう。こんな雪の中いろんなところに連れ回して風邪ひかせるより、暖かいし、食事は旨いし、部屋なら誰にも邪魔されないし……」
でも、スイートとはゴージャスな寝室がある場所。ふたりきりで食事して、隣は寝室。恋人でない私をそんな所に連れて行っていいわけ?……と、心の中でおたおたしても、彼に通じるはずもなくて。
「ほら、来て。いつまでも外にいたら雪だるまになるよ」
彼の頭や肩には雪がうっすらと積もっていた。
私がモジモジし続けこの場に留まれば、じきにふたりとも雪だるまだ。潔く覚悟を決めるしかなかった。
「そ、そうね」
私はキョロキョロと辺りをうかがいながら、彼の隣に付き、ホテルロビーへと入ったのであった。









「いらっしゃいませ。お待ちしておりました、恩田様」
フロントで名を名乗ったときから、あきらかに従業員の態度が変わった。真純は、客は客でも上お得意様のような待遇。最高の待遇になるくらい誰を連れてきたというのだろうか。
私たちは支配人より案内されて、最上階のスイートルームに入る。
生まれて初めて足を踏み入れた部屋。私は西洋の置物がズラリと置いてあるようなイメージを浮かべていたけれど、実際見る部屋はシンプルで広々としていて。だけど、絨毯にしろテレビにしろ、飾られているグラスにしろ、全ての調度品は、見るからに高級なものが揃えてあるようだった。
私は、靴を脱ぎ絨毯の上に上がろうとする。
それを、真純は止めた。


「葉子さん、土足でいいんだよ」


「うそっ……」


私は慌ててパンプスを履きなおす。真純が笑いを堪え肩を揺する横で私は、顔から火が出るような思いをしていた。貧乏人の発想にしか思えず、恥ずかしくてたまらなかった。
真純は、一歩前を歩きながらコートを脱ぎ当たり前のようにホテルマンへ手渡す。私もすみませんと恐縮しながらジャケットを手渡した。


「もうすぐ準備が整いますので、暫くお待ちくださいませ」

「すまない支配人、無理言って」

「いいえ、ちょうどスイートに泊まる予定のお客さまのキャンセルが入ったばかりでしたので」

「この雪で?」

「はい」

「まだ降り続くのかな?」

「夜半までは止まないようです」
支配人と真純は、話をしていた。私はもうひとりのホテルマンに化粧室の場所を聞き誘導してもらった。





「う~ん」
私は緊張をほぐすため、大きな伸びをし、化粧台の鏡を覗き込んだ。
とれかかった化粧にがっかりしながら、唇に紅を塗る。一通り済むと真純へプレゼントを渡す構図をいろいろと考えてみた。




「はい、真純さん。25歳の誕生日おめでとう!」
にっこりと微笑み、鏡に向かってペーパーバッグを差し出す。
『これは叔父さんのじゃないの?』
私の言葉を聞いた真純の台詞は、きっとこうだ。
「実は、あなたのために買ったのよ。あげるわ」
『僕はGUCCIより、君の身体が欲しい』……じゃなくて『ありがとう。僕にくれるの?』
「ええ、あなたに会えてよかった。私あなたのことが好きなの」
『僕もだ……。葉子』
「真純さん…」



ああ、駄目だ。



場所が場所だけに妄想はすぐに飛躍し、エッチな方へと進んでゆく。
私は、いかがわしい妄想を消そうと頬をパチパチと叩く。するとドアをノックする音が聞こえ、真純が顔をのぞかせた。
「葉子さん、もう前菜来てるんだけど。顔叩いてなにやってるの?」
「な、なんでもないわ」
「じゃ、食べようよ。ワインも準備してるから」
結局イメージトレーニングは、中途半端に終わる。私はバッグを持つと真純の後を追ったのだった。












リビングに設けられたお洒落なテーブルに座らされると、真純はウエーターにワインを頼んだ。
私は、緊張する。彼とこうやって真向かいに座り、見つめ合っていることが。


「ロスから帰って来たんだ」


ようやく言葉をみつけて、彼に問うてみる。
「ああ、朝こっちについてFIEにいたよ。もう時差ぼけでね、仕事にならなかった」
「そう、大変なのね」
「まぁね」
話が途切れる。
場がシンと静かになり心が高鳴り始めると、懸命に話題を探した。
「あ…あなたは、今日予定があったんじゃないの?」
「えっ、どうして?」
「だって、今日はイブでしょ。分かるでしょ言いたいこと」
「どうして、こんな日に恋人と一緒にいないのかということ?」



話題がないからといってどうしてこんなことを聞いてしまったのだろう。探りを入れていることがバレバレだ。『この後、予定があるんだ』なんて言われたら、おしまいなのに。


「恋人か……」


彼はそう呟くと、ソムリエから注いでもらったワインを光に翳している。ゆらゆらと赤い液体を揺らしたあと、同じワインを私に注ぐように指示した。
「そう言えば去年のイブは、平井と過ごしていたな」
や、やっぱり。
彼らは恋人同士だったんだ。
「平井…って、グッチの店員さんよね」
「ああ……、まっ、とにかくまずは乾杯しないか」
私の質問攻めに苦笑しながら、真純は話題を変えた。


「ふたりのイブに乾杯」


彼は、そんな台詞を口にした。







第34話へつづく














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コメント

No title

まるこさ~ん、この終わり方、すっごく次が気になります!!
一体、この先はどうなるんでしょう~。

いらっしゃいませ~☆

アミーナさん♪
やっぱり。。。ですか~(笑)
思いっきり気になるところで止めてますよね(滝汗)
かなり佐渡根性でてます(笑)

次回更新は、来週で数日お待たせするかも~~~。
悶々と。。。じゃなく(笑)次回の展開を楽しみに待っていてくださいね☆


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まるこ

Author:まるこ
オリジナル恋愛小説を運営する
心の景色を文字にするのが大好きな
管理人。
『春夏秋冬』(R-15)

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目次

私の彼は副社長

登場人物

~出会い編~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/
10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/
17/ 18/ 19/ 20/ 21/ 22/ 23/
24/ 25/ 26/ 27/ 28/ 29/ 30/
31/ 32/ 33/ 34/ 35/ 36/ 37/
38/ 39/ 40/ 41/ 42/ 43/ 44/
45/ 46/ 47/ 48/ 49/

~真純くんの事情~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/
11/ 12/ 13/ 14/

~恋人編~
本家サイトにて公開中(R-15)





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