four seasons ~恋人たちの午後~

気の向くままに文字を綴ります。。。

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私の彼は副社長 21


「え~、やっぱり嫌だわ」
 葉子はシャワーを浴びた後、プール入り口にある姿見に映る自分にがっかりしていた。
やっぱり帰ろうか、今ならまだ引き返せるそう思ったとき。



「葉子ちゃんじゃない!」
聞きなれた嗄れ声、多美子さんから背中を叩かれていた。
「あなたも、あいつに誘われて体験に来たの?どんな所かと思ったけどスポーツクラブって結構面白いわよ。せっかく体験来たんだし、思いっきり利用させてもらわなければね!私、二時間歩いてきたから、今度はエアロビクスってのにチャレンジしてみるわよ。じゃ、さようなら」
「ちょっと、多美子さん。私もエアロに……」
「運動できる服あるの?」


いや、真純から言われたものだけしか準備してなかった。


「ない……です!」
多美子は、たぷんと脂肪の付いたお腹を軽く二回叩くと笑う。
「水着姿が恥ずかしいの?大丈夫よ。午前中はあの塩崎さんだって入ったんだし、中はほとんどこんな体格したおばちゃんか、おじちゃんばかりだから。あっ、若い人目当てだったら夜かジムがお勧めらしいけど……。じゃ、もう始まるから行くわね。25Mプールはあっちで、こっちは50Mよ。絶対、行きなさいよ。もったいないからね」
多美子は鼻歌交じりで更衣室へと帰ってしまった。葉子は、仕方なく多美子から言われた25Mプールへと向かうことにした。



でもなんだか、私の心はさわさわしていた。
実は、真純は自分のことだけ誘ってくれたのだと思っていたのだ。特別扱いされたと有頂天になっていた心は、まるで割れた風船のように小さく縮んでしまっていた。








プールは、こんな昼の時間帯なのに結構な人で賑わっていた。
真純は、既に25Mプールで泳いでいて、私の姿を見ると手で招く。早々に水に入り、彼に近づくと隣に付いた。
「葉子さんて、意外に着やせするタイプなんだ」
「それって私が太ってるって言いたいの?」
「いや、結構スタイルいいかなって思った」
そう言って、チラッと真純の視線が落ちる。
「もう!見ないでって言ったでしょ」
「ごめん、ごめん」
私は胸を隠すと、失礼なくらいに笑う彼を叩こうとした。
そこで、ギョッとした。




彼の厚い胸板が、すぐそばにあったから。
いかにも何らかのスポーツをしてますと主張する肩と胸の筋肉、首筋から顎にかけてのラインはスーツを着ているときよりもがっしりとしていることに気付いた。まるで、彫刻のような体の一部を見てしまった私は、拍動を早めていた。
「君だったらスイムウェア似合うと思うんだけど……じゃあ、見ないように泳いできます」
真純は、波も立てずにプールに入ると、泳ぎ始めた。
ドルフィンキックから軽めの背泳、素人目から見ても彼の泳ぎは優雅で水面を滑るように進んでいった。




「どうして、泳がないの」
あっという間にターンして戻ってきた真純は、私に声かける。
「実は、泳ぐの久し振りで。得意じゃないの」
「あっ、そうなんだ。それは申し訳ないことをしたね」
すごく残念そうな表情をした真純は、プールの端を指さす。
「もし泳ぎたくないということならば、あの端の歩行用レーンを歩いてもいいし、もし、泳いでみたいのであれば僕が教えてあげるよ。これでも、大学のときは、FIEで水泳のインストラクターのバイトをしていたんだ」


「へぇ、何でも泳げるの?」


私は、泳げる人をすごく尊敬する。
いるかのように泳げたらどんなに気持ちがいいだろうと、小さい頃からずっと思っていたんだ。
「一応、一通り。自慢じゃないけど高校生選手権水泳競技大会 200Mバタフライ二期連続優勝者ということで……今はもうあんな記録出せないな」
「十分に自慢よ。だけど、凄過ぎるわ。ねっ、泳いでみて」
ゆっくりでいいから。私は彼にせがんでいた。競技大会の優勝者の泳ぎだなんてそう見る機会はない。
真純は嫌がることもなく、いいよと笑みを返してくれた。
「そうだなぁ、見返りは何にしようか?今日のディナーは一緒にということで。じゃ、そう言う事で葉子さんのために頑張ります」


「ちょっと!勝手に約束なんて……」


やめて……。
私は、その言葉を呑み込んでしまう。
はるか向こう25Mレーン先を睨んだ真純の瞳は、闘争心むき出しの光に変わっていたからだ。仕事のときとまた違う雰囲気に、呑まれてしまう。
彼は、再び黒のゴーグルをかけると位置に付いた。






第22話へつづく





ドルフィンキック。。。両足を同時に上下させ、足の甲で水を蹴ること。バタフライや背泳ぎのスタート直後に行う。イルカ蹴り



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目次

私の彼は副社長

登場人物

~出会い編~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/
10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/
17/ 18/ 19/ 20/ 21/ 22/ 23/
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31/ 32/ 33/ 34/ 35/ 36/ 37/
38/ 39/ 40/ 41/ 42/ 43/ 44/
45/ 46/ 47/ 48/ 49/

~真純くんの事情~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/
11/ 12/ 13/ 14/

~恋人編~
本家サイトにて公開中(R-15)





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