four seasons ~恋人たちの午後~

気の向くままに文字を綴ります。。。

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私の彼は副社長19


― ふたつの立場で、身を引き裂かれそうな思いだ。


その言葉が、幾度も幾度も脳裏に浮かんでくる。
それはきっと、私の右手がまだ彼の掌に包まれているからだと思う。静かに車窓の風景が流れていく中、鼓動だけが激しく鳴り響いていた。


― ふたつの立場ってなに?


そんな分かりきったことを彼に聞くのも、野暮な気がした。
ビジネスとプライベート、彼はその中で身を引き裂かれる思いをしているというのだ。
ビジネスは、もちろん土地の買収。そして、プライベートは……。よく受け取れば、真純が私に対し好感を持っているということ、普通にとればただの同情だ。私にとっては、その位置は天地の差。でも、彼が握ってくれているこの掌の温かさを感じるに、ただの同情ではないような気がした。



「葉子さん」
「は、はい!」


突然の彼の声かけに私の声は裏返り、意識しまくりだということを真純にアピールしてしまう。
「ひとつ会社用の花束作って、水着と帽子とゴーグルを準備して。一番近くのFIEに案内するよ。あっ、嫌でも敵内偵察だって思ったら大丈夫でしょう?」
結局、あの言葉の意味を知ることもなく、私と彼は再び敵同士になった。だけど、さっきまでの敵とは意味合いが違う。まだ繋がれている手からその答えが伝わってきた。









自宅に戻った私は、涙で剥がれてしまった化粧を施し、水着一式を準備する。でも、心は上の空だった。
彼が車の中で言った言葉が、気になって仕方がない。
「ゴーグルと帽子と…あと、水着…ええっ、うそ!?」


だが、それどころじゃなくなる。
私は、手に取った紺色の水着に愕然とする。


実は、高校卒業してからプールに行ったことなんてなかった。一度だけ詩織に引き摺られるように海へは行ったが、さすがにそのビキニじゃスポーツクラブには行けないだろうし……。で、持ってるのは、このスクール水着だ。
やっぱり着てみるとピチピチ気味の水着。特に胸の辺りはきつくって……。
そんな姿を彼の目に晒すなんて、恥ずかしくてたまらなかった。
「でも、ないし……。あ、そうだTシャツ着ればいいんだ」
私は、ほとんど海に行く感覚でたんすの奥にあったTシャツをバッグに入れた。




「す、凄い」



隣駅の駅前は、人々の活気でにぎわっていた。ほんの5年前までは、閑古鳥の鳴く商店街だったが、今はそんなことさえも分からないお洒落な街並みとなっている。
その中でFIEは、駅前の一等地に立っていた。
スポーツジムとは分からないほどのお洒落なビル。隣のビルは一棟丸ごと駐車場で、そこは有料だが他の店と共有できるようになっているようだった。
真純は、その駐車場に車を止めると助手席のドアを開けた。




「うちの会員は駐車場3時間無料なんだ。部外者は、時間制だが比較的安い値段で長く利用できる。うちと提携しているショップは、一時間無料だ」
真純は、私の隣につき心地よい靴の音を響かせながら説明をしていく。
駐車場の造りもよく考えてあり、クラブ利用者に一番適した造りになっているとのことだった。


「早速営業ね」


「君だって偵察でしょ。入り口はこちら。どうぞ」
駐車場からは、そのままクラブへ入れる仕組みになっている。受付には3人の女性がいて、大きな挨拶に素敵な笑顔を見せてくれた。
「会員は、そのまま自動改札機を通って中に入れるんだけど」そう言いながら真純は、私が作った花束を持ち受付嬢の元に進んだ。





「副社長、お疲れ様です」
「お疲れ様。また、この花束飾っておいてくれ、そして、今日はこの花束の製作者を連れてきたよ。はなみ花屋の店長、羽並葉子さんだ。会いたいって言ってただろう?」
そのひと言に、受付の女の子たちは喜び始める。私はその大げさなほどの感情表現にびっくりしていた。
「きゃ、握手してください~!」
「わぁ、この小さな手であんなすごい花束作ってるんですね」
「今日は手を洗わないことにするわ」
ほとんど、人気女優並みの待遇。その理由はこうだった。ひとりの受付嬢が一枚の写真を取り出して見せたのだ。




それは、葉子が作った紅い薔薇の花束を持った女性と真純のツーショット写真だった。隣の彼女の顔は真っ赤で泣きはらした感じで。
「週一回、副社長が持ってこられる花束がすごく合ってるって社内で評判だったんです。この間なんて、結婚退職する社員が……この写真の人ですけど、副社長から花束貰ったら突然泣き出して、やっぱり辞めないって駄々こねたりしたんです。副社長から紅い薔薇なんて似合い過ぎるから、感動したみたいなんですけど」
「こんなセンスのいい花屋さんってあまりないわね」
「そうそう。でも、副社長に言っても場所を教えてくれないんですよ。ひどいと思いません店長。営業妨害ですよね」
「でも、会えて嬉しい~~」




 どうやら、この受付嬢3人は話し出したら止まらなくなるらしい。
盛り上がり始めた3人のテンションを止めるため、真純は、咳払いすると「ほら、仕事しろ」と言ったのだった。








第20話へつづく








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(かなりの確立で更新の後押しとなりそうです。。。笑)
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コメント

ワクワク♪

いよいよ真純さまの泳ぐ姿が拝読できるのですねっ!?
ワクワク・ドキドキです!
まるこさん、真純さまの麗しきお姿を余すところなく(実況解説並みに)描写してくださいっ!(切望・・・)
仕事と恋の狭間で苦悩する真純さまももっと見てみたい気もします。
いいオトコはどんな姿でもどんな様子でも絵になる・・・

どきどき♪

zaziさ~ん♪いらっしゃいませ~~☆
ありがとうございます!!

そうですよ~~。zaziさんが待ちに待っていた泳ぎのシーンは、22話を中心に描いています☆実況解説並み。。。ですね!切望されたらどんどん描いちゃいますよ(笑)描きすぎて戻ってこ~い状態にならないようしなきゃです!


仕事と恋の狭間。。。苦悩、いいっすね~。やはりそれがないと見ごたえはありませんからね~うふうふ。。。(鬼執筆者)その辺もお楽しみに♪

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まるこ

Author:まるこ
オリジナル恋愛小説を運営する
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『春夏秋冬』(R-15)

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目次

私の彼は副社長

登場人物

~出会い編~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/
10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/
17/ 18/ 19/ 20/ 21/ 22/ 23/
24/ 25/ 26/ 27/ 28/ 29/ 30/
31/ 32/ 33/ 34/ 35/ 36/ 37/
38/ 39/ 40/ 41/ 42/ 43/ 44/
45/ 46/ 47/ 48/ 49/

~真純くんの事情~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/
11/ 12/ 13/ 14/

~恋人編~
本家サイトにて公開中(R-15)





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拍手をいただきありがとうございます。皆さんに楽しんでいただけるようこれからも頑張ります!

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