four seasons ~恋人たちの午後~

気の向くままに文字を綴ります。。。

05月≪ 06月/123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

私の彼は副社長 18


― 本当は、癌のお母さんも利用させてもらいたいくらいだ。



「ひどい!どうしてそんなこと言うの?本当のあなたが分からない。優しいんだか、冷たいんだか」





真純の言葉に、涙が溢れてきそうだった。いくら敵視しているとしても、そんな言葉を彼の口から出してもらいたくなかった。嘘だといってもらいたかった……だが。
「ああ、ひどいよ。僕は自分の目的のため、仕事ではいろんなことをやってきた。相手を自殺にまで追い込もうとしたことだってある。だけど、結局それはお互いのためなんだ。君だって、こうでも言わないと目が覚めないじゃないか」
そんなこと自己満足としかいえない……。
気持ちを逆なでし続けている彼にカチンと来た。
「何をいってんの、自分勝手すぎるわ!冷血人間!あなたには情ってのがないのよ」




真純は、眉をひくりと震わす。そして、私を睨み返しながら、鼻先が当たるくらいに顔を近づけてきた。
「じゃあ、聞くが……。君の情ってなんだよ?身を滅ぼすための情か?昔流儀のやり方ばかりを続けてどうするんだ。世の中は、随分物価も上がったっていうのに儲けも考えずに首絞めて、そんなに技術があるのにそれも眠らせたままだ。人情だ何だと執着して、本当に守らなければならないものを見失っている。君は簡単に土地と店を守るとか言ってるけど、そんな甘い考えでは守れない。それどころか、借金ばかりが増えて後に自殺することになるぞ。現実を見ろ、僕と正々堂々戦え!資料も見ず、ただただ反対ばかり言っていないで、敵の懐に飛び込んで相手を知ってみたらどうだ……。気に食わなければ、僕を潰せばいいんだ!」
「い、いいわよ!説明会でも会社でも何でも行ってやるわ。あなたを潰して、店を守る!!」




嗚呼、これじゃあ、売り言葉に買い言葉だ。
本当は、彼と戦いたくなんかなかった。でも、これで本当の敵になったのだ。そして、彼の優しさを受けることなんてもうなくなるだろう。彼との間に出来た大きな距離に彼の意気込みの強さがぶつかり、ずっと我慢していた涙がほろりと頬を伝わった。
「だったらあなたとは本当の敵だわ、もう優しくしないで!こないだだって、魚屋の多美子さんから変な誤解をされたでしょ。母だって誤解してる。いい迷惑なのよ」
心は迷惑だなんて思ってない。だけど、同情にも似た優しさなんて受けるのは空しいだけだった。
いっそ、冷たくされた方が気持ちも整理できる。




だが真純は、この言葉に大きく動揺しているようだった。苦虫を潰したように顔をしかめると、一途に向けていた瞳をそらした。


「今から会社に来い!僕が何をやってるか教えてやる」
「ちょ、ちょっと」


私は、腕を掴まれ拉致のように車に押し込められる。
飛び出す間もなく真純が運転席に乗り込み鍵を閉めた。彼のフレグランスの香りからふわりと包まれると、二人だけの空間を感じ胸が高鳴りはじめる。
悔しかった。
こんなシチュエーションでもなお、心は彼を想っているのだ。切なさで溢れる心を止めることは出来なかった。


「なにするのよ、電車で行くからほっといて!もう、私の心を乱さないで、敵だったらもっと冷たくして!あなたの車なんかには乗せないで、ふたりっきりなんて、もうよして……辛すぎるのよ」


あまりにも興奮しすぎて私は心の言葉まで喋っていた。途中ではたと気付いたのだが、既に時遅く一気に気持ちをぶつけていた。
助手席の鍵を開けようとするがびくともしない。私はロックを外すために運転席の内ドアに手を伸ばす、彼の身体が私の身体に触れる。胸の膨らみが彼の身体に当たってると分かっていても、それを離す余裕なんかなかった。


「葉子さん……」


彼から声掛けられている。無視して鍵に手を掛けると、大きな手が私の手を包みキュッと握った。


「僕だって…」


「えっ?」
私は、バタバタ動かしていた身体を止めると真純を見上げる。涙でぺとぺとになった顔を、彼は苦しそうな表情で見つめていた。
「……ふたつの立場で、身を引き裂かれそうな思いだ」
「真純さん……?」




彼の手に力が入る。
大きな指が掌へ食い込むくらいに、更にギュッと握り締められた。
真純の温かい手……パニックになっていた心が、落ち着きを取り戻してゆく。私は、密着しすぎていた彼の身体から自分の身体を離し、助手席に座り直した。


どきどきがとまらない。


相変わらず、私の右手は握られている。



そして、フロントガラスに視線を向けた真純は、私の手を握ったまま車のエンジンをかけたのだった。









第19話へつづく





次回は、きっと来週ですね。。。
すみません。すごく気になる所で終わった気が……(汗)


ランキング参加しました♪
(かなりの確立で更新の後押しとなりそうです。。。笑)
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説へ



スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけOK

HOME

プロフィール

まるこ

Author:まるこ
オリジナル恋愛小説を運営する
心の景色を文字にするのが大好きな
管理人。
『春夏秋冬』(R-15)

注)広告目的のコメントについては
予告なく削除することがあります。

目次

私の彼は副社長

登場人物

~出会い編~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/
10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/
17/ 18/ 19/ 20/ 21/ 22/ 23/
24/ 25/ 26/ 27/ 28/ 29/ 30/
31/ 32/ 33/ 34/ 35/ 36/ 37/
38/ 39/ 40/ 41/ 42/ 43/ 44/
45/ 46/ 47/ 48/ 49/

~真純くんの事情~
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/
11/ 12/ 13/ 14/

~恋人編~
本家サイトにて公開中(R-15)





拍手御礼!

拍手をいただきありがとうございます。皆さんに楽しんでいただけるようこれからも頑張ります!

コメントお礼

ブログランキング
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
お薦めブログ
お気に入りブログ小説

大人向きのものも含まれています☆


 Lovers


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。